仮想通貨の税金を知っておこう!確定申告の必要性
仮想通貨(暗号資産)を行いたい方の多くは「今あるお金をもっと増やしたい」と思って税金のことはあまり大きく考えてないのではないでしょうか。
収入を得ていくにあたってまず考えなければいけないのが、税金や確定申告についてです。仮想通貨(暗号資産)の取引でも税金がかかってしまうのは他の事業や投資などと変わりません。また株などの扱いになるのでは、と思っても実は違うようでので全体見て確認してみてください。
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そもそも確定申告ってなに?仮想通貨に対して必要?税金を納める手続きって?
まず知っておかなければいけない確定申告とは、その年の1月1日〜12月31日までの1年間で得た所得額を申告し、税金を納める手続きのことです。
給与所得のみのサラリーマンなら、源泉徴収や年末調整を行っているのでこの手続きは必要ありません。しかし仮想通貨(暗号資産)を取引するといった、他にも収入があれば確定申告が必要になるケースがあります。
仮想通貨(暗号資産)の取引による収入は雑所得に当てはまる
所得の種類にはサラリーマンがもらえる給与所得や土地や建物を活かして得られる不動産所得など全部で10種類ありますが、なかでも暗号資産の取引で得た所得は雑所得にわけられます。
給与所得のみのサラリーマンの場合、この雑所得が1年間で20万円を超えると確定申告をしなければいけません。
先ほどもお伝えしましたが、会社に勤める人は源泉徴収で給与分の納税が済んでいますので、確定申告によって暗号資産の取引で得た収入分の納税を行います。
仮想通貨(暗号資産)にかかる税金のポイント
ここからは、暗号資産のトレードで得た収入にかかる税金(雑所得)のポイントについていくつか紹介します。
1.所得が大きくなれば納める税金も増える
雑所得は、給与所得などほかの所得と合計にした金額に税金がかかる「総合課税」の対象となります。
所得額が増えるほど税率も上がる「累進課税」が取り入れられており、最大では45%の税率がかかります。都道府県、市区町村に納める10%の住民税を加えると最大で55%の税率がかけられます。
参考:「所得税の税率」はこちら
2.マイナスになってもほかの利益をカバーできない
また、暗号資産のトレードで1年間の利益がマイナスだったとしても、利益が大きくなっているほかの所得をカバーできません(損益通算禁止)。
3.マイナス分は来年以降の利益もカバーできない
暗号資産のトレードによって出た雑所得のマイナス分は、翌年以降にも繰り越せません。
たとえば、2022年にトレードを行って150万円のマイナスで、2023年のトレードでは530万円のプラスだったケースでは「マイナス分を差し引いて380万円にしよう」とすることはできません。
一方で、上場株式やFXの売り買いで得たマイナス分は3年間繰り越しができて、翌年に発生した利益から差し引けます。
暗号資産(仮想通貨)の取引で税金がかかるタイミングは?
では、どのようなタイミングで税金がかかるのでしょうか?簡単にいえば確定した時です。アメリカでは株の売買を確定していないが見なしで税金を取るなど始まってしまったので今後、国の状態によっては変わるのかもしれません。
ここでは課税の対象となる利益が発生する代表的な例を紹介します。
1.暗号資産(仮想通貨)を売ったとき
まず、暗号資産を売ったタイミングで利益(または損失)が発生します。
ちなみにここで言う利益とは、暗号資産を買ったときにかかった金額と、売ったときの価格で求められる差額のことです。
たとえば、350万円で買った10イーサリアムを500万円で売ったケースで計算していきましょう。
【利益となる金額の計算】
500万円(売ったときの価格)-350万円(買ったときの支払い価格)=150万円(利益の金額)
レバレッジ(CFD)取引の場合はどうなる?
上記では現物取引を例に説明しましたが、レバレッジ(CFD)取引においても同じように売却時に利益(または損失)が発生します。空売り(ショート)の場合は買い戻したタイミングで利益(または損失)が発生します。
2.暗号資産(仮想通貨)同士でトレードしたとき
ビットコイン(BTC)を使ってイーサリアム(ETH)を買うなど、暗号資産同士でトレードしたときも利益が発生します。
たとえば、100万円で購入した1BTCが5倍の500万円にまで値上がりし、それを使って500万円分のETHを買ったケース。
【利益となる金額の計算】
500万円(ETHを買った金額)-100万円(BTCを買った金額)=400万円(利益の金額)
このケースでは、持っているBTCを一度売って日本円に変え、そのお金でETHを買うという取引と考えるとイメージしやすいかと思います。
3.暗号資産(仮想通貨)がプレゼントされたとき
また、暗号資産を無料でプレゼントしてもらえたときも利益になります。
これは「エアドロップ」や「ボーナス」も例外ではありません。
暗号資産の無料プレゼントは、もらえた時点での価格がそのまま利益として扱われます。
さらに、もらえた暗号資産を売るときに値上がりしていたら、増えた分の金額も利益となるので気をつけましょう。
4.レンディング・ステーキングによる報酬をもらえたとき
レンディングやステーキングによって得られる収入をもらえたときにも利益が発生します。
レンディングは暗号資産を貸し出して賃借料を受け取ること、ステーキングは持っている銘柄による利回りを得られることを指します。
また、そのあと値上がりしたタイミングで売るのであれば、その差額も利益となるので注意してください。
5.DeFiの取引を行ったとき
DeFiとは「ブロックチェーン上で作られる金融エコシステム」を指します。2018年末にサービスができたUniswapなどがありますが、銀行とは違って政府や企業など間に人の手が入らずに運営されるという特徴があります。
DeFiの取引でも暗号資産同士を取引できる「スワップ」がありますが、利益が出るタイミングは一般的な暗号資産の売買と変わりません。またレンディング・ステーキングも同じく、暗号資産もらったタイミングで利益となるので注意しましょう。
6.暗号資産(仮想通貨)でNFTを購入したとき
そしてよく耳にするNFTの取引でも課税の対象となる利益が発生します。
そもそもNFTとは、Non-Fungible Token(ノンファンジブル・トークン)を正式名称とするデジタル資産です。
簡単に説明すると、芸術家のアートなど有形・無形にかかわらず「本物である」と価値を示せるテクノロジーです。
NFTの購入ではETH、SOL、TRXなどの暗号資産(仮想通貨)を介して行うことが多く、この際に暗号資産(仮想通貨)の売却価格が原価よりも上回っていれば利益が発生するので注意が必要です。
また、NFTを売却する際も購入した価格よりも高い価格で売れたらその差額分が利益となります。
確定申告をしなかったらどうなる?
暗号資産のトレードで一定の利益が出ているのに、確定申告を行わないとさまざまなペナルティが与えられるので気をつけましょう。
たとえば、加算税や延滞税などが当てはまりますが、シンプルに言うと利子や罰金を支払わなければいけないと理解しておいてください。
暗号資産投資家が税務調査で申告漏れを指摘されるケースが増え、ニュースでも取り上げられることが多くなっているため、必ず適切に確定申告を行いましょう。
法人にかかる税金はどうなる?
ここまでご説明したように、個人で暗号資産取引を行っている場合は住民税も含めると最大で約55%の税率がかかります。
一方で法人として暗号資産取引を行っている場合、法人税の税率は最大で23.2%、住民税や事業税も考慮に入れた実効税率は約34%程度※となっているため、所得が大きい場合は法人化した方が税率を低く抑えられるケースもあります。
また、個人と法人の違いとして代表的なものは、期末時点の含み損益に対する取り扱いです。
個人で暗号資産取引を行っている場合、年末に保有している暗号資産が含み益を抱えている場合でも課税の対象にはなりませんが、法人の場合は、決算期末時に保有する暗号資産の含み益を利益として計上する必要があるという点が大きく異なるので注意が必要です(逆に含み損は損失となる)。
※資本金1億円以下の中小企業の場合。会社規模や都道府県により実効税率は変わります。
確定申告完了までの3ステップ
暗号資産における確定申告の大まかな流れは次の3ステップです。
次の手順をあらかじめ決められた期限までに行わなければいけません。期限日からさかのぼり余裕を持って完了できるように動きましょう。
※振替納税の場合、支払い期限が1ヶ月ほど延長されます。
1.損益計算で「自分にいくら損益があるか」を把握する
まずは、自分は本当に確定申告が必要であるかどうかを判断するために、暗号資産の取引で得た年間の利益額(プラスの金額)または損失額(マイナスの金額)を計算しましょう。
この作業をできるだけ早めに済ませておくと、その後に行う確定申告の手続きをスムーズに進められます。
取引履歴の収集
暗号資産の損益計算を行うためにはまず、暗号資産取引を初めて行った時から現在までの取引履歴が必要です。この履歴は利用している取引所から取得できますが、1件でも履歴が不足していると正確な計算ができません。必ず抜け漏れがないように履歴を集めてください。
計算ソフトを使って損益計算
履歴が集まったら、年間の損益金額を計算します。気になる計算方法ですが、大きく3種類あります。
Excelなどの表計算ソフトで自分で計算するのは難易度が高く、計算ミスのリスクもあります。そこで「Gtax」といった損益計算サービスの利用がおすすめです。
「Gtax」では、国内外多くの暗号資産取引所や様々な種類の取引に対応しています。取引履歴をアップロードするだけで自動で損益額を算出するので、計算に関する知識がなくても簡単に損益額を確認することができます。
暗号資産の損益計算サービス「Gtax」の詳細はこちら
損益計算を行った結果、利益金額から経費を引いて残った金額が20万円を超えているなら次のステップに進んで確定申告を行いましょう。
損益計算を行う前に「移動平均法」「総平均法」のいずれかを選択しよう
なお、暗号資産の取引を行って損益計算と確定申告をするときに「移動平均法」もしくは「総平均法」のどちらかを選ばなければいけません。
移動平均法と総平均法は、暗号資産を1枚あたりいくらで購入したかという平均取得単価(≒原価)を計算するときの方法です。
【移動平均法の特徴】
- 暗号資産を購入するたびに取得価額を計算する
- その時点で正確な取得価額を把握できる
- 取引が多ければ多いほど計算する回数も増える
【総平均法の特徴】
- 年間購入金額の合計を購入数量の合計で割って計算する
- 計算が1回だけなので簡単に済ませられる
- 実際行った取引ベースの利益と異なる可能性もある
それぞれ計算方法がまったく異なるため、その年だけで見ると計算結果に違いが見られます。しかし将来的な利益金額はどちらも変わりませんので安心してください。
どちらの計算方法を選択したか確定申告の期限までに税務署へ届け出なければいけません。(届け出をしていない場合は総平均法が自動で採用されます)
一度選択すると原則3年間は変えられないルールがあるため注意しましょう。
2.確定申告書を作成・提出する
損益計算が完了したら確定申告書を作成して税務署へ提出します。先ほど紹介した損益計算サービスを用いるなどして割り出した損益金額を「確定申告書にある雑所得の欄」に記入しましょう。
なおe-Taxを利用すれば、パソコンもしくはスマートフォンからでも確定申告書の作成と提出ができます。
※国税庁「暗号資産の取引に係る収入がある場合」
確定申告書を作るにあたっては、経費と添付書類の2点に注意してください。
ポイント①:暗号資産取引の経費について
確定申告書には経費の入力欄があります。経費は所得金額をおさえることができるため、もし認められるものがあるなら入力しましょう。
経費として認められる可能性があるものの例
- 取引に使用するパソコン
- セミナー参加費(勉強のため)
- 計算ソフトの月額料金など
ただし、経費として認められる範囲は専門的な知識がなければ判断が難しいため、税理士や税務署に相談した方が良いでしょう。
ポイント②:添付書類について
暗号資産の取引についての書類は、必ずしも提出しなければいけないものではありません。
ただし、利益の計算に使用した取引履歴や年間取引報告書は、取引内容を示す根拠書類となりますので大切に保管してください。
3.確定申告を済ませたら納税する
確定申告書を提出すると納税する金額が確定するので決められた金額を納税します。
給与所得のみのサラリーマンであれば、給与にかかる税金は振り込みのときに天引きされるので、自分で納める必要はありませんでした。しかし暗号資産の所得については、別途自分で支払わなければなりません。
税金を納める主な方法
- 税務署で直接納付
- e-Taxで納付
- 銀行口座の振替
- クレジットカードでの決済
- コンビニでの納付
※振替納税の場合は期限が1ヶ月ほど延長される。
また、暗号資産は上下動が激しいため、突然暴落したときに備えて納税資金は日本円で早めに確保しておく方が良いでしょう。
法人における暗号資産(仮想通貨)の取り扱いについて
ここまでお伝えしてきた暗号資産の取り扱いは個人向けですが、法人で暗号資産取引を行う方もいるでしょう。
法人として暗号資産取引を行って得た所得には、法人税がかかります。個人だと最高税率は45%、住民税も含めると最大で約55%でしたが、法人税の税率は最大で23.2%、住民税や事業税も考慮に入れた実効税率は約34%程度つまり、利益が大きくなればなるほど法人のほうが税金をおさえられる可能性があるでしょう。
また、法人なら損失を翌年以降に繰り越せたり、利益を他の事業の損失と埋め合わせができるなどといったメリットもできます。
ただし法人だと、暗号資産の利益の有無に関わらず決算申告は必ず行う必要がある、その他ランニングコストがかかるなどのデメリットもあるため注意しましょう。
確定申告についてのQ&A
暗号資産(仮想通貨)で利益が出たら、いくらから確定申告が必要になりますか?
1年間で暗号資産(仮想通貨)による所得が20万円を超えると、確定申告が必要になります。
暗号資産(仮想通貨)による所得は原則として雑所得に分けられ、1ヶ所から給与をもらっているサラリーマンの場合は20万円から確定申告が必要です。
しかし、医療費が一定額を超えたときに所得を差し引ける制度の医療費控除を利用する場合や、給与以外の収入で確定申告を行うときは暗号資産(仮想通貨)の所得が20万円以下であっても申告書に書く必要があるので注意しましょう。
また、確定申告は2ヶ所以上から給与をもらっていることなどによっても必要になりますので、こちらも参考によくチェックしておいてください。
国税庁:確定申告が必要な方
暗号資産(仮想通貨)の確定申告は難しいでしょうか?
暗号資産(仮想通貨)の確定申告は損益計算によって他の事より他所難しく感じるところがあるかもしれません。暗号資産(仮想通貨)は、株式投資や外貨FXとは異なり、自分で利益を計算しなければいけません。
そして暗号資産取引(仮想通貨取引)では、購入・売却といったシンプルな取引に加え、レンディングやステーキング、エアドロップなどとさまざまな取引があります。これらの取引データを一ヶ所にまとめて計算する必要があるため、エクセルなどを使って自分で計算するのはとてもハードルが高いでしょう。
確定申告をするときは取引所から発行される年間損益報告書の利益額を申告書に記入すればいいですか?
暗号資産(仮想通貨)の確定申告を行うときに、年間損益報告書を利用できるケースは限られています。
以下のいずれかに当てはまる方は、年間損益報告書を利用して確定申告はできませんので、自分で損益計算を行う必要があります。
– 2ヶ所以上の取引所を使っている
– マイニングなど、取引所以外で暗号資産(仮想通貨)の利益が発生している
– 移動平均法で計算したい
暗号資産(仮想通貨)で利益が出たのに、確定申告しなかった場合のペナルティは?
暗号資産取引(仮想通貨取引)で一定以上の利益があるにもかかわらず申告しなかったり、実際よりも少ない金額で申告したりすれば延滞税や加算税といった税務上のペナルティが発生します。
延滞税とは、締め切り日(3月15日)までに確定申告を行わず、税金の納付が間に合わないときなどに発生する利息のようなもの。一般的に、申告期限日の翌日から納付までの日数に応じた金額が課せられます。
一方加算税は、確定申告や納税が正しく行われなかったときに課せられるペナルティのこと。加算税は大きく分けるとこちらの4種類です。
【主な加算税】
重加算税・・・申告内容の改ざんなど悪質なケースでのペナルティ
無申告加算・・・税期限を過ぎても無申告だったときのペナルティ
過少申告加算税・・・税務調査後の修正申告や申告税額の更正を受けたときのペナルティ
不納付加算税・・・源泉所得税が納付されなかったときのペナルティ (会社側)
確定申告におけるペナルティは、故意や過失にかかわらず発生するので正しく計算できているかしっかりとチェックしましょう
年をまたいで暗号資産(仮想通貨)を売却したら利益はどうなりますか?
暗号資産(仮想通貨)の損益額は、原則1月1日〜12月31日の期間で計算されます。
暗号資産(仮想通貨)を保有した状態で2022年から2023年へ年をまたいだ場合、暗号資産(仮想通貨)の原価は翌年に引き継がれます。
そのため、年をまたいで暗号資産(仮想通貨)を売却すると、利益の計算は以下のようになります。
「売却した価格ー引き継いだ暗号資産(仮想通貨)の原価」
具体例を挙げてみましょう。
例えば、2022年に100万円で購入したコインを2023年に300万円で売却した場合、2023年度の利益は200万円になります。
暗号資産(仮想通貨)の原価は年をまたいで引き継がれますが、損失は翌年以降に引き継ぐことはできないので注意しましょう。
例えば2021年に80万円の損失があり、翌年の2022年の利益が250万円の場合、80万円の損失を250万円の利益と打ち消しあうことはできません。
利益が出ていないと分かっているなら計算する必要はありませんか?
暗号資産取引(仮想通貨取引)の損益計算は、利益の有無にかかわらず、毎年実施するのが望ましいです。その理由は大きく下記の2点が挙げられます。
①暗号資産取引(仮想通貨取引)における損益計算の性質上、最新の年度だけでは損益計算できない
年末に暗号資産(仮想通貨)の残高がある場合、暗号資産取引(仮想通貨取引)の損益計算に利用する平均取得単価(暗号資産(仮想通貨)1単位あたりいくらで取得したかという情報)は、翌年以降に繰り越されます。
例えば、2019年から暗号資産取引(仮想通貨取引)をしている方が、2022年度の損益計算を実施するためには、2019年まで遡って取引データをまとめた上で計算を行う必要があるため、毎年算出しておかないと、後々多くの手間と時間がかかってしまうのです。
②過去に遡って取引履歴が取得不可となるケースがある
暗号資産取引(仮想通貨取引)の損益計算では取引所やウォレットが発行する取引履歴が必要となります。しかし一部の取引所では、過去の履歴が閲覧不可となったり、取引所の閉鎖によって取得履歴の取得が不可能になったりする可能性もゼロではありません。
将来確定申告を行う際に困らないためにも、こまめに取引履歴を取得し、毎年損益計算を行うことが望ましいです。
③暗号資産取引(仮想通貨取引)における損益計算の性質上、最新の年度だけでは損益計算できない
年末に暗号資産(仮想通貨)の残高がある場合、暗号資産取引(仮想通貨取引)の損益計算に利用する平均取得単価(暗号資産(仮想通貨)1単位あたりいくらで取得したかという情報)は、翌年以降に繰り越されます。
例えば、2019年から暗号資産取引(仮想通貨取引)をしている方が、2022年度の損益計算を実施するためには、2019年まで遡って取引データをまとめた上で計算を行う必要があるため、毎年算出しておかないと、後々多くの手間と時間がかかってしまうのです。
④過去に遡って取引履歴が取得不可となるケースがある
暗号資産取引(仮想通貨取引)の損益計算では取引所やウォレットが発行する取引履歴が必要となります。しかし一部の取引所では、過去の履歴が閲覧不可となったり、取引所の閉鎖によって取得履歴の取得が不可能になったりする可能性もゼロではありません。
将来確定申告を行う際に困らないためにも、こまめに取引履歴を取得し、毎年損益計算を行うことが望ましいです。
サラリーマンが確定申告をすると暗号資産取引(仮想通貨取引)を行ったことが会社に知られてしまいますか?
会社の内規等の取り扱いは、各々確認の上判断いただく必要がありますが、確定申告をしただけでは暗号資産(仮想通貨)の取引が会社側に知られてしまう心配はありません。ただし、給与以外の収入があることが会社側に推測される可能性はあります。
給与以外の収入があることを会社に知られる理由は、確定申告によって決まる「住民税」にあります。
一般的なサラリーマンの場合「特別徴収」によって毎月の給与から住民税が天引きされています。しかし副収入があると住民税額が変わるため、会社側に副業を行っていると疑われるかもしれません。
副収入があることを会社に知られたくない場合は、確定申告を行うときに住民税の支払方法を「普通徴収」にしましょう。
普通徴収にすると、確定申告を行った年の6月に自宅へ送られてくる納付書を用いて自分で住民税を納めます。
少しの手間はかかりますが、会社の給与から天引きされる住民税は変わりません。
暗号資産(仮想通貨)の確定申告の手続きはどれくらいの時間がかかるか?
確定申告にかかる時間は暗号資産(仮想通貨)の取引状況やその他の所得の状況によって異なります。
利用している取引所が国内取引所のみで、年間の取引件数が数十件程度のライトな投資家であれば、ツールを利用することで1時間かからずに計算でき、無料もしくは安い料金で計算できることが多いです。
一方、複数の海外取引所で取引を行っていて複雑な取引を頻繁に行っている場合はかなりの時間がかかってしまう場合もあります。取引状況や暗号資産(仮想通貨)の損益計算ルールの理解度によっては1ヶ月以上かかってしまうケースもあるため、損益計算は早めに実施することをおすすめします。
確定申告書の作成・提出、納税については通常の確定申告の作業と変わりありません。例えば会社員で、給与所得と暗号資産(仮想通貨)による所得のみであれば、1日あれば完了できるケースがほとんどでしょう。
まとめ
- 暗号資産による収入は雑所得とされる
- 暗号資産(仮想通貨)における所得が20万円を超えると、確定申告が必要になる
- 暗号資産トレードの種類によって利益が発生するタイミングが異なる
- 雑所得は給与所得などの合計の金額で税率が決まる
- 所得額が増えるほど税率もアップする
- 確定申告のステップ 年間で得られた損益金額の計算→確定申告書の作成と提出→納税
- 暗号資産(仮想通貨)の確定申告は、自分で損益計算をしないといけない
- 年間損益報告書を利用できるケースはまれである
- 確定申告をしなかったらペナルティが発生する
- 住民税の支払い方法を普通徴収にすれば会社側に副収入を知られない
結論
暗号資産の取引を行うにあたって、まずは税金についての基本的な内容を理解しておかなければいけません。そもそも自分は確定申告をしないといけないのか、利益が出ているのかをチェックする必要があります。暗号資産の取引で得た所得が一定以上ある場合は、きちんと確定申告を行う必要があります
サラリーマンなど確定申告が初めての方なら不安に感じるかもしれませんが、国が用意しているツールもしくはサービスを利用して手間を大幅にカットしながら確定申告をするこのが良いでしょう。
取引内容によっては計算に時間がかかったり難しい判断に迫られたりする可能性もあるので、税理士または税務署にすぐ相談できるようにゆとりを持って準備を進めていきましょう。